2024.03.16

#WEB Site

WEB担当者のためのWEBサイト制作におけるノーコードツールとの正しい向き合い方

近年、ノーコードツールが急速に普及し、プログラミング言語の知識やコーディングの技術のない方でも簡単にWEBサイトやアプリを作れるようになりました。
ノーコードツールのメリット、デメリットを正しく把握することで、WEBサイトをより効果的に運用していくことができます。

ノーコードツールとは

ノーコードツールとは、プログラミング言語を知らない人でも、WEBサイト、アプリケーション、あるいはオンラインフォームなどのデジタル製品を作成できるように設計されたツールのことを指します。ユーザーがコードを一切書くことなく、視覚的なインターフェースを使用してアイデアを実現することが可能となります。

ノーコードツールの種類は多岐にわたります。WEBサイトやモバイルアプリの開発、ECサイトなどエンドユーザー向けサービスの開発をはじめ、業務フロー自動化、IoTやAI、VRやAR、3D開発用のツールなど様々なサービスが提供されています。

WEBサイト制作向けノーコードツールの多くは、ドラッグ&ドロップ方式を採用しており、コンピューターの画面上でオブジェクト(テキストボックス、画像、ボタンなど)をマウスでつかみ、希望の位置に移動して配置するという、直感的な操作でWEBページのレイアウトが可能となっています。

さらに、多くのノーコードツールでは、あらかじめデザインされたテンプレートを提供しており、ユーザーはこれらのテンプレートをベースにして、自分のニーズに合わせてカスタマイズすることができます。

ノーコードツールの利点

ノーコードツールではコードをイチから書く必要がないため、開発プロセスが大幅に速くなり、結果的にコストも削減されます。アイデアを素早く形にし、テストや改善を繰り返すことが容易になります。

またプログラミングの専門知識が不要なため、技術的な背景がない人でもデジタルプロジェクトに参加できます。

ノーコードツールを活用することで、限られたリソースでも、大企業が行うようなデジタルソリューションを開発し、市場に投入することも可能になります。

WEBサイト制作におけるノーコードツールの限界

一方で、ノーコードツールで制作するWEBサイトには限界も存在します。

特に自社の独自性をデザインで表現したいケース、あるいはより複雑でカスタマイズされたソリューションが必要な場合、高度なパフォーマンスとスケーラビリティを求めるプロジェクトなどでは、従来のコーディングが重要な役割を果たします。

また、プライバシーとセキュリティの厳格な要件を持つアプリケーションに関しては、ノーコードツールだけに依存することのリスクも検討する必要があります。

カスタマイズ性の制限

ノーコードツールは、基本的には既存のテンプレートやビルディングブロックを組み合わせてWEBサイトを構築します。これにより、ユニークなデザインや特定の機能要件を持つWEBサイトを制作する際に、カスタマイズの幅が制限されることがあります。特に、ブランドのアイデンティティを強く反映したい場合や、特殊なユーザーインタラクションを実装したい場合に問題となることがあります。

パフォーマンスの問題

ノーコードツールで生成されたWEBサイトは、時に最適化されていないコードを含むことがあります。これにより、WEBサイトの読み込み速度が遅くなったり、モバイルデバイスでの表示が適切でなかったりする可能性があります。WEBサイトのパフォーマンスは、ユーザー体験とSEOの両方に直接影響するため、この問題は特に重要です。

スケーラビリティの問題

ビジネスが成長し、WEBサイトに対する要求が高まるにつれて、ノーコードツールで制作されたWEBサイトがそのニーズに対応できなくなる可能性があります。高度な機能やデータベース統合、複雑なユーザー管理など、ビジネスの成長に伴って必要となる機能を追加することが困難になることがあります。

プロフェッショナルなサポートの欠如

ノーコードツールを使用してWEBサイトを制作する場合、従来の開発プロセスに比べて専門的なサポートやアドバイスが少なくなることがあります。WEBサイトの運用や将来の拡張に関して、専門的な知識や技術的なサポートが必要になった場合、ノーコードツールを使用する業者では対応が難しい場合があります。

迅速でコスト効率の良いウェブサイト構築が可能なノーコードツールですが、ビジネスの特定のニーズや将来の成長を考慮すると、必ずしも最適な選択肢とは限りません。

タイのWEB制作会社に制作を依頼する際の注意点

タイでWEBサイトを制作したい場合、とくにローカルのWEB制作会社にWEB制作の相談をすると、ノーコードツールを使用するのか、しないのかの提案や選択肢はなく、WordPressのテーマやプラグインを利用したノーコードツールでのWEB制作一択の提案を受けるケースが多数見られます。
その理由としては、見積もり費用を抑えられる点、イチからコードを書くスキルをもつ人材が社内にいない、などがあげられるかと思います。

前述のとおり、ノーコードツールには様々なデメリットも存在し、価格の安さ、納期の短さだけにフォーカスをして業者選定をしてしまうと、“ノーコードツールありき”の作り方をしてしまっている場合、様々な問題の解決や希望する拡張ができず、結局別の業者でゼロから作り直さなければならなくなった、といったケースもよく耳にします。

弊社では、お客様の目的やご要望に沿った“オーダーメイド”での制作を基本としております

“ノーコードツールありき”の制作ではなく、あくまでツールは手段・方法の一つと捉え、例えばWordPrssで言えば、イチからHTMLコーディングしたものに、必要な機能をWordPressで補うという考え方でご提案しております。また、ECサイトの決済機能やカート機能、あるいは会員サイトのログイン機能などゼロから作ると大きな工数・コストが発生してしまう機能を、ノーコードツールを活用することで、工数やコストを大幅に抑えて開発をすることができます。例えば、近年タイの日系企業様で利用が増えているサイボウズ社のKintoneを会員機能やデータベースとしてWEBサイトと連携させるといったカスタマイズの事例もございます。

一方で、スタートアップのため、いったん仮でもWEBサイトを用意しておきたい、というケースでは、まるごとノーコードツールを使った制作をおすすめすることもございます。

ノーコードツールとの向き合い方

ノーコードツールは、DX化の波に乗り遅れたくない個人やビジネスにとって非常に価値のあるリソースといえます。ノーコードツールの活用により、アイデアを迅速に形にし、試作品を作成し、フィードバックを元に改善を行うプロセスが格段に容易になります。しかし、その便利さとアクセシビリティにもかかわらず、ノーコード開発には限界があり、すべてのプロジェクトやビジネスニーズに適しているわけではないという点も理解しておく必要があります

最終的には、プロジェクトの目的、複雑さ、そして将来的な成長の見込みを考慮し、ノーコードツールを選択するか、専門の開発チームと協力するかを慎重に検討することが重要です。ノーコードツールを使用する場合でも、デジタル製品の開発に関して基本的な知識と理解を持つことが、成功への鍵となるでしょう。