Search Console(サーチコンソール)で始めるWEB改善。タイ市場を見据えた活用法とは?

WEBサイトを立ち上げた後、自社のWEBサイトが検索エンジンで「どのくらい見られているのか」「検索結果にちゃんと表示されているのか」が気になる方も多いのではないでしょうか。そんなときに役立つのが、Google Search Console(サーチコンソール)です。

この記事では、Search Consoleの基本から、実際に何ができるのか、さらにタイ市場をターゲットにした場合の活用方法までをわかりやすく解説します。

Search Consoleとは?

Search Consoleは、Googleが無料で提供しているWEBサイト運営者向けのツールです。自社のWEBサイトがGoogle検索でどのように表示され、どのようなキーワードでアクセスされているのかを確認することができます。

たとえば、以下のような情報を知ることができます。

・どんな検索キーワードで自社サイトが表示されているか
・そのキーワードの検索結果で、何番目に表示されているか
・クリックされた回数はどれくらいか
・サイトに技術的な問題はないか(モバイル対応やインデックス登録など)

これらの情報をもとに、「サイトの改善ポイント」や「検索対策(SEO)の効果」を把握できます。

しかも、Googleアカウントさえあればすぐに利用でき、難しい設定も不要。Webサイト運営者にとっては必須のツールといえるでしょう。

Search Consoleで何ができる?

Search Consoleは、単に「検索での見え方」を確認するだけのツールではありません。WEBサイトがどのようなキーワードで表示され、実際にどれくらいのユーザーが訪れているのか、ページごとの検索評価や技術的な問題点までを把握できる、WEB改善のための総合的な診断ツールです。

特に、WEBサイトを通じて集客や問い合わせを増やしたいと考えている企業にとって、ユーザーの検索行動やサイトの表示状況を知ることは極めて重要です。Search Consoleを使えば、広告に頼らず自然検索からの流入を高めるためのヒントが得られるほか、SEO施策の成果を定量的にチェックすることもできます。

ここでは、Search Consoleで具体的にどのようなことができるのかをご紹介していきます。

① 検索結果パフォーマンスの分析

「検索パフォーマンス」レポートでは、検索キーワード(クエリ)、表示回数、クリック数、クリック率(CTR)、平均掲載順位などを確認できます。

例えば、

・「Bangkok hotel web design」で検索されたときに自社ページが何回表示されているか
・そのうち、何回クリックされているか
・平均して検索結果の何位に表示されているか

といった情報を把握できます。検索からの流入を増やすには、こうした情報をもとにコンテンツを改善していくことが重要です。

検索結果のパフォーマンス

② ページのインデックス状況を確認

WEBサイトを公開しても、そのページがGoogleに認識(=インデックス)されていなければ、どれだけ良い内容であっても検索結果には表示されません。つまり、インデックスされて初めて“検索の土俵”に立てるというわけです。

Search Consoleでは、各ページのインデックス状況を確認することができます。たとえば、公開したはずの製品紹介ページやキャンペーンページがいつまで経っても検索結果に現れない場合、「インデックス未登録」が原因であることが少なくありません。

こうした問題をSearch Consoleの「ページ」レポートで確認できるのはもちろん、個別にURLを入力して「インデックス登録をリクエストする」機能も備わっています。これにより、新規ページや修正したばかりのページをGoogleに早く認識させることが可能です。

特にキャンペーンページやタイムリーな告知など、スピード感が重要なコンテンツについては、手動での登録リクエストが効果的です。

Search Consoleを使えば「なぜ検索に出てこないのか?」という疑問に対して、根拠をもって対応することができます。ページの存在を知らせることから始め、検索に表示される状態へ導く。これもまた、WEBマーケティングの基本であり、成果につながる第一歩です。

ページのインデックス登録

URL検査画面からインデックス登録のリクエストができます

③ サイトマップの送信

Webサイトの構造をGoogleに正しく伝えるためには「サイトマップ」の送信が効果的です。Search Console上からXMLサイトマップを送信すれば、クロール(Googleの巡回)がスムーズになります。

④ モバイルユーザビリティのチェック

特にタイ市場では、スマートフォンからのアクセスが主流です。Search Consoleでは、モバイル表示で問題があるページ(文字が小さい、リンク同士が近すぎるなど)を警告として表示してくれます。

「エクスペリエンス」の「ウェブに関する主な指標」の画面

⑤ 外部リンク(被リンク)の確認

他のWebサイトから自社サイトへ張られているリンク(被リンク)も確認できます。これはSEO対策として重要な指標の一つであり、信頼性向上にもつながります。

「リンク」から「外部リンク」「内部リンク」が確認できます。

Search Consoleを導入するには?

Search Consoleは無料で使えるにもかかわらず、多くの企業がまだ十分に活用できていないツールの一つです。では、導入にあたって経営者やマネジメント層が知っておくべきポイントは何でしょうか。

まず前提として、Search ConsoleはGoogleが提供する公式ツールであり、自社のWEBサイトの検索エンジン上での可視性(見られ方)を把握・改善するための分析基盤となります。導入自体は非常にシンプルで、GoogleアカウントとWEBサイトの管理権限さえあれば、社内や外部のWEB担当者が短時間で設定できます

導入に際して経営層が押さえておくべき重要なポイントは、Search Consoleによって得られるデータが、戦略的なWEB改善やマーケティング判断の根拠となるということです。たとえば、「どんな検索キーワードで見込客が流入しているのか」「どの製品ページが検索されやすいのか」といった情報は、製品開発や販売戦略にも波及する示唆を含んでいます。

また、多言語展開や海外市場進出を見据えている場合には、国や言語別にユーザーの検索動向を把握するための重要なツールにもなります。英語版やタイ語版のWEBサイトが、現地ユーザーのニーズに応えているかをデータで確認できるという点は、海外展開を推進する経営者にとって大きなメリットでしょう。

加えて、Search Consoleは広告のように費用が発生するわけではなく、継続的にコストをかけずに利用できます。つまり、投資対効果の高い情報インフラともいえるのです。WEB戦略の判断精度を高めるための「最低限、導入しておくべきツール」として、経営層自身がその価値を理解し、活用を推進する姿勢が求められます。

これだけは知っておきたいSearch Consoleの基本用語解説

これからWEBマーケティングに本格的に取り組もうとしている中小企業にとって、Search Consoleはとても強力な味方になります。しかし、実際にレポートを開いてみると、「クリック数」「表示回数」「CTR」など、初めて目にする専門用語が多く、戸惑ってしまう方も少なくありません。

とはいえ、こうした用語の意味を大まかにでも理解しておくことで、外部の制作会社やマーケティング担当者とのやり取りが格段にスムーズになります。経営判断のスピードも上がり、数字を見ながら戦略を立てることが可能になります。

ここでは、Search Consoleを使いこなす上で最低限おさえておきたい用語を、できるだけわかりやすく解説します。「全部は覚えられない」という方でも、まずは意味を理解して、感覚的にでも数値の動きがわかるようになることを目指しましょう。

クエリ(Query)

クエリとは、ユーザーがGoogleで検索する際に入力する言葉、つまり「検索キーワード」のことです。たとえば、「バンコク 日系企業 ホームページ」や「タイ 工場建設 実績」など、ユーザーのニーズを反映した生の言葉がそのままクエリになります。

Search Consoleでは、自社サイトがどんなクエリで表示され、クリックされているかがわかります。この情報は、「お客様が何を求めてサイトに来ているのか」を知る手がかりになります。逆に、想定していたキーワードで表示されていない場合は、サイトの内容やSEO対策がズレている可能性もあるのです。

表示回数(Impressions)

表示回数とは、検索結果のページに自社のWEBサイト(またはそのページ)が表示された回数のことです。重要なのは、「ユーザーが必ず見た」かどうかではなく、「検索結果の中に表示された」だけでカウントされるという点です。

たとえば、ユーザーが「タイ 省エネ設備」と検索して、10件中7位に自社のページが表示された場合、クリックされなくても1回の表示として記録されます。表示回数が多いのにクリックが少ない場合は、タイトルや説明文(メタディスクリプション)の改善が必要かもしれません。

クリック数(Clicks)

クリック数は、検索結果に表示された自社サイトのリンクを、ユーザーが実際にクリックした回数です。表示されたけれどクリックされなかった場合はカウントされません。

この数字が増えていれば、「ユーザーの興味をひくタイトルがついている」「掲載順位が良い」といった良い兆候が見られます。一方で、クリック数が少ないページは、検索結果の見せ方や内容の改善余地があると考えられます。

CTR(クリック率)

CTR(Click Through Rate)は、表示回数に対するクリック数の割合を示したもので、「クリック率」とも呼ばれます。計算式は「クリック数 ÷ 表示回数 × 100」で表され、たとえば1,000回表示されて50回クリックされていれば、CTRは5%になります。

CTRが高ければ高いほど、検索結果の中で自社サイトが魅力的に見えているということ。つまり、ユーザーの関心をつかむことができている状態です。掲載順位が同じでもCTRに差が出ることがあるため、タイトルや説明文の改善はCTR向上に直結します。

平均掲載順位

平均掲載順位とは、自社サイトがある検索キーワードに対して、Googleの検索結果に表示された平均的な順位を表す指標です。Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートで確認できます。

例えば、「バンコク 日系 Web制作」で検索されたときに、あるユーザーには3位に表示され、別のユーザーには5位に表示された場合、そのページの掲載順位は3と5の間の数値としてカウントされ、平均掲載順位として記録されます。

Googleの検索結果は、ユーザーの以下のような要因によって微妙に変わります。

・現在地(国や都市)
・検索履歴や閲覧傾向(パーソナライズド検索)
・使用しているデバイス(スマートフォン/PC)
・言語設定や地域設定

そのため、「自分で検索したときは1位だったのに、Search Consoleでは平均4.5位になっている」といったケースも珍しくありません。Search Consoleの「平均掲載順位」は、こうした複数のユーザーにおける実際の表示順位の平均値なのです。

Search Consoleをタイ市場向けに活用するには

これから本格的にタイ市場に向けてWEBマーケティングを強化したいとお考えの企業様にとって、「どのようなニーズがあり、どんなキーワードで現地のユーザーが検索しているのか」を正確に把握することは、マーケティング戦略の土台となります。

Search Consoleは、そうした現地ニーズの“見える化”に役立つ非常に強力なツールです。Google検索のデータに基づいて、英語・タイ語ページそれぞれのパフォーマンスを確認できるほか、現地ユーザーの関心キーワードや行動傾向を数値で把握することができます。言い換えれば、感覚や憶測ではなく、実際の検索行動をもとに施策を立てられるという点が、Search Consoleの最大の強みです。

タイではモバイルユーザーの割合が高く、情報収集の多くがGoogle検索を起点に行われています。つまり、検索結果上でどのように自社サイトが表示され、どのページに関心が集まっているかを理解することは、タイ市場でのWEB集客を成功させる上で不可欠です。

ここからは、Search Consoleをタイ市場向けにどのように具体的に活用できるのか、実際の活用パターンをいくつかご紹介します。

① 多言語・多ドメイン構成への対応

日本語サイトと英語・タイ語サイトを分けている場合、それぞれSearch Consoleに登録する必要があります。検索結果は言語・国ごとに異なるため、個別にパフォーマンスを確認しましょう。

それぞれ別々のプロパティとして登録し、どの市場で何が読まれているのかを可視化することが可能です。

② 現地ユーザーが使うキーワードの把握

タイ市場でWEBを活用した集客を成功させるためには、実際に現地ユーザーがどのような言葉で検索しているのかを知ることが不可欠です。Search Consoleの「検索パフォーマンス」レポートでは、ユーザーがGoogleで入力した検索キーワード(クエリ)と、そのキーワードに対して自社サイトが何回表示・クリックされたかが確認できます。

ここで注目したいのが、現地ユーザーの“生の声”としての検索キーワードです。例えば、タイ人に向けた日本食レストランのサイトを運営している場合、以下のような検索語句が実際にデータとして表れたとします。

ร้านอาหารญี่ปุ่น(日本食レストラン)
อาหารญี่ปุ่น อร่อย(おいしい日本食)
ร้านซูชิ กรุงเทพ(バンコク 寿司屋)

これらのキーワードは、感覚ではなく実際に検索結果に表示されているもの、あるいはクリックされているものです。つまり、ユーザーのニーズが数字で可視化されている状態です。

さらに、Search Consoleでは「国別」や「デバイス別」での絞り込みも可能なため、「タイ国内でモバイルから検索されたキーワードだけを抽出する」といった分析もできます。これは、現地のトレンドやスマートフォン中心のユーザー行動に対応するうえで非常に有効です。

こうして得られたデータをもとに、サイト内の見出しやコンテンツの表現を見直したり、需要のあるテーマで新規コンテンツを作成することで、検索流入の増加とユーザー満足度の向上が期待できます。

③モバイル最適化の重要性

タイ市場でWEBサイトを活用する上で、モバイル対応は「必須要件」といえます。タイ国内ではPCよりもスマートフォンでインターネットを利用する人が圧倒的に多く、飲食店検索や企業調査、商品の購入に至るまで、日常的にスマホから情報収集が行われています。

こうした背景から、モバイルでの表示や操作性が悪いサイトは、ユーザーの離脱を招き、せっかくの機会損失に直結する可能性があります。

Search Consoleでは、「モバイルユーザビリティ」という機能を使って、スマホでの表示に問題があるページを自動的に検出してくれます。ここで指摘される典型的なエラーには、例えば次のようなものがあります。

・フォントサイズが小さすぎて読みにくい
・リンクやボタンの間隔が狭く、タップしづらい
・画面サイズにコンテンツが合っておらず、はみ出して表示される

こうした問題は、ユーザー体験を損なうだけでなく、Googleの検索順位にも悪影響を与えることがあります。Googleはモバイルファーストインデックスを導入しており、スマホでの表示を基準に検索評価を行うため、モバイルでの最適化はSEOの観点からも非常に重要なのです。

特に、タイのようにスマホ利用率が高く、競合も多い市場では、こうした細かなユーザビリティの差が成果を分ける大きな要因になります。Search Consoleでエラーが検出されたら、優先的に修正を行い、現地ユーザーにとってストレスのない閲覧体験を提供することが、WEBマーケティング成功の土台となります。

す。

④ 現地スタッフとのレポート共有

海外拠点と本社が連携しながらWEBマーケティングを進める上で、共通言語となる“数値”を通じた意思疎通は非常に有効です。Search Consoleでは、検索パフォーマンスやインデックス状況、モバイルユーザビリティなどの各種データをCSV形式で簡単にエクスポートできるため、こうしたデータを定期的に現地スタッフと共有することで、共通の課題意識を持つことができます。

特に、言語や文化の違いがあるチーム間では、「ページの表示回数が下がっている」「この検索キーワードでの順位が上がってきている」といった客観的な数値をベースにしたコミュニケーションが非常に効果的です。たとえ本社側がタイ語を話せなくても、Search Consoleのレポートから得られる定量的な情報をもとに現地チームと方針を共有すれば、マーケティングの精度とスピードが向上します。

さらに、「国」や「ページ」「言語」単位でのパフォーマンスを比較できる点も、グローバル展開をしている企業にとっては大きな強みです。どの国のコンテンツがどのように検索され、どの市場で成果が出ているかといった判断材料としても活用できます。

このように、Search Consoleは単なる分析ツールではなく、本社と現地を結ぶ“情報共有の橋渡し役”としての機能も果たします。定期的なレポート共有を通じて、現地チームとのマーケティングの方向性をすり合わせていく体制づくりが、持続的な成果につながります。

Search Consoleを味方につけよう

Search Console、WEBサイトを「つくって終わり」にしないための非常に強力なツールです。検索キーワードの分析や掲載順位の確認といった機能を活用することで、今どのようにユーザーに見られているのか、何が課題となっているのかを客観的に把握できます。

特に海外市場向けのサイト運営では、言語や文化、ユーザー行動の違いをふまえた対応が求められます。Search Consoleを使えば、例えばタイ市場での検索傾向やモバイル端末での表示エラーなど、現地のニーズや状況に即した改善点を明らかにすることができます。英語やタイ語といった多言語サイトでも、それぞれ個別にデータを取得・分析できるため、細かなマーケティング戦略の立案に役立ちます。

WEBサイトを成長させ、成果につなげていくには、こうした情報をもとにPDCAを回していくことが不可欠です。Search Consoleは、その第一歩を支える「無料で使える分析パートナー」として、初心者の方にこそ積極的に活用していただきたいツールです。

当社では、Search Consoleの導入支援はもちろん、取得データを活用した改善提案やタイ市場に特化した戦略設計まで、トータルでサポートしています。海外展開やWeb改善に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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